薪窯パン アルメの立ち上げ

2019年3月。
campfire 薪窯パンalluméクラウドファンディングページより

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薪窯パンalluméは島根県雲南市にある天然酵母パンと焼き菓子のお店です。
生地を手でこねて丸一日かけて発酵させ、手作りの煉瓦窯に薪をくべてパンを焼いています。

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●薪窯と天然酵母のパン屋について

・薪窯とは、「薪の燃焼エネルギーで稼働する石窯」のことです。たとえ電気ガスが途絶えても木材さえあればパンを焼くことができるクリーンなオーブンです。

・天然酵母とは「野生に存在する酵母を自家培養」したもののことで何千年も前から発酵食品づくりに使われてきた手法です。天然酵母によってイーストよりもパンの風味がよくなり、品質の劣化速度も遅くなります

全国にパン専業店は1万件ある中で、薪窯/天然酵母のパン屋は十数件です。

島根県/鳥取県を合わせて山陰地方と呼ばれますが、薪窯パンalluméは山陰地方初の薪窯/天然酵母パンのお店です。

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●薪窯で焼いたパンの味

主な特徴は3つあって、

・窯にためた熱が、高温から低温へと"ゆっくりと降下”していくこと

・薪→煙→パンという香りの移動

・レンガによる遠赤外線効果

この3点によってパンにとって理想的なふくらみや、バリバリの皮、立ち上る香りの形成がなされ美味しいパンになります。

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●店を始めるきっかけ

中学生の時に読んだパンの漫画がきっかけでパンが好きになって、専門学校へ行きパン屋に就職。2年後もっと吸収したいと東京へと転職。店のオープンメンバーとして働きました。

飲食業、サービス業など多くの業種に当てはまることですが、パン屋というのは

”長時間労働、低賃金”

です。朝から晩まで休みなく働いても給料は安く、特に都会の一人暮らしではお金が残りません。

私が考えたのはなぜパン屋はこの状況におちいっているのか、ということで

・店の客数に対して品数が多すぎる(多種類少量生産によって製造が非効率化)

・低価格路線である

・付加価値がない(オリジナリティが弱い)

この3点が大きな原因ではないかと思いました。なので私はこの逆を行けばいいと考え、自分のお店ではラインナップを絞り、商品原価をかけて激安路線から離脱する。さらにパン1個あたりの大きさを大きくして一人当たりの生産性を上げ労働時間を削減する。”近いからついでにあのパン屋に寄ろう、ではなく遠いけどいいお店だからわざわざ行ってみよう”

こんなパン屋にしようと思いました。落ち着いたのは機械ではマネできない「薪窯/天然酵母」のパン屋。ヨーロッパの片田舎にあるようなパン屋です。

パンの種類は*ハード系のみ、いい材料にこだわって、スーパー、コンビニの袋売りとは全く別物の美味しいパンを人に届けたいです。なので薪窯パンalluméを立ち上げることにしました。

(*ハード系・・・乳製品、卵などが入っていないシンプルな配合で、皮が固めのパンのこと)

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●小麦は国産であること

ここで触れておかなければならないことは、多くのパン屋は「輸入小麦」を主軸にしているということ。
店を始めるにあたって決めていたことは「小麦は国産である」ことで、国産小麦は作り手が少なく値段が高いのですが、*ポストハーベストが無く安心安全で高品質です。輸入小麦を仕入れるとお金は外国に落ちていきますが、国産に変えると国内の生産者にお金が落ちていきます。
薪窯パンalluméでは国産小麦を使うことで安心安全の品質を維持し、国内の生産者を応援します。

(*ポストハーベスト・・・収穫後の農産物に使用する防カビ剤・殺菌剤のこと)
(*クルミ、ライ麦など国産の供給があまりにも少ないものに限り外国産を使用します)

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●薪窯パンalluméがやりたいこと

パンのことを考え追及するうちに、そもそもパンってなんだろうと思うようになりました。

”食べ物”の本質とは「栄養があって吸収できるもの」だと思います。それで”パン”の本質とは「発酵食品であり、なおかつ良い食べ物」であること、なんじゃないかなぁと思っています。誤解を恐れずに言うとパンは身体に良いものであって、だからこと何千年も前から現代まで食べ続けられてきたんですね。

ところが昔と違って現代の消費社会というのは「売れなければ価値がない」わけですが、そのためにお店では毎日新商品を考え、お客様に飽きられないように工夫をしています。ただし、新しいものを作れば作るほど、新しかったものは古くなります。つまり新しいものを作るときに考えなければならないことは「新しいものというのは古くなるのが早い」ということですね。新商品Aを作って翌日に新商品Bを作ると新商品Aはもう古い。Aを消費した次はBを消費して、Cを消費してDを消費して・・・

 

こういうシステムは小さいお店には合っていません。私たち職人が手作りでやるにあたって大事なことは永く愛される価値を創り、ただただ消費していくだけではない持続可能な仕事をすることです。

薪窯パンalluméでやりたいことはパンの本質を捉え、お客様に良い食べ物を提供すること。なおかつ後世の人も無理なく続けられるパン屋さんの仕事の形を作ることです。

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